ドイツでの恋について話そう 3

T君とは楽しく過ごせていたと思う。いつもまわりに人がたくさんいて、それが余計楽しかった。学校から帰ると、寮の共同スペースでみんなでテレビを見たり、ゲームをした。一緒に夕食を作ることもあったし、ビールもよく飲んだ
寝る時間になると、それぞれ自分の部屋に帰っていった。私もいったん自分の部屋に帰り、歯磨きをし、顔を洗って、再び彼の部屋にいった。毎日そんなことの繰り返しだった。

でも、あるとき、彼の様子がおかしいと感じた。夜、ぜんぜん寝付けないようで、もぞもぞと寝返りを打っていた。いつもは引き寄せてくれるのに、それもなかった。最後には、起きだして、いらいらとタバコを吸い始めた

私も身を起こして、どうしたの?と聞いた。彼はなんだか気まずそうに、考えたんだけど・・・と切り出した。

彼は私とつきあい始める前、長くつきあっていた彼女がいた。大学進学によって遠距離になってしまっていたが、週末になると彼女は彼のもとにやってきていた。私も何度か見かけたことがあったが、とっても綺麗な彼女だった。
T君がその彼女と別れたのは、遠距離になったからと、彼女の束縛がいやになったから、ということだった。大学生活が始まり、いろんな期待に胸膨らませていた彼にとって、結婚まで匂わせてくるようになった彼女はちょっとした重荷だったのだろう。
そして、無事にその彼女と別れた直後、私とつきあうようになった。もちろん、それは新たな出会いであったけれど、大学が始まって間もない頃でもあり、彼としてはまだまだ他の可能性にも目を向けたいという気持ちがあったようだ。特に今度は家も近く、下手したら四六時中一緒だった。彼が息苦しさを覚えるのも無理のないことのように思えた。

けれど、
君と別れたいというわけではないんだけど・・・。もう少し別の可能性を見てみたい、というT君のセリフは、
浮気を容認してほしい、という意味でもあった。つまり、もっと他の女性に目を向けて、それでも誰もいなかったら私と・・・という、私にとっては安パイにされているような、馬鹿にされたような言い分だった。

私のことが一番だと思えないようなら、別れよう。

そう言って、私は真夜中に自分の部屋へと帰った。
思ったよりもショックをうけいている自分に気づき、驚いた。自分の部屋ががらんとしているような気がした。




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