ドイツでの恋について話そう 5

T君ときっぱりと別れたことで、自然とS君との距離が近くなった。でも、なんだか簡単に乗り換えた、みたいに思われるのは嫌だったし、実際、私も少し休みがほしかった。そんなとき、ちょうど私は日本に一時帰国をすることになった。
日本でゆったりした気持で過ごして、その中で自然にわき上がってくる気持に素直に行動しよう、そう思った。でも、結局はもう結論は出ていたようなものだった。S君も、私が一時帰国するのに際して、すごくさみしそうな、残念そうな態度を見せ、日本に着いたら絶対に電話をしてほしい、と言ってくれた。
そこから日本にいる間の約1週間、何度もドイツのS君に電話した。彼も決まった時間には電話の前で待っていてくれているような、そんな電話の出方だった。つまり、このとっても短い遠距離が、かえって二人の気持を高めてしまったのだった
ドイツに帰ってからは、つきあうことのほうがもう自然だった。彼と年末年始を過ごすために、日本で鍋の材料を買って帰国をし、まっさきに彼のところに行った。とても幸せだった。

でも、私の歯車が狂いだしたのはそこからだった。彼の異変の始まりの瞬間を今でもよく覚えている。

彼の部屋で、なにをするでもなくだらだらしていた時、ふっと彼が私の腕をとって、「すべすべだね」と言った。顔は10人並みだけど、肌と髪の毛だけはおかげさまで(?)昔からよく褒めてもらえた。だから、そのときも何の他意もなく「あー、よくいわれる~」と答えた。すると、彼はすっと立ち上がって別の部屋へと行ってしまった。最初は気づかなくて、何か用事があるのだろうと思った。ところが、彼がPCに向かって卒業論文に取り掛かり始めたのがわかった。私は、「あれ?今日は一緒にショッピングに行くはずなのに」と思った。なんとなく声をかけづらい雰囲気の彼に、それでもなるべく普通に、「じゃあ、何時にでかける~?」と言った。彼は表情のない顔で振り返って、「論文やらなきゃいけないから」とだけ言った。
なにが起こったのかわからなかったけど、卒業論文を持ちだされたら、何も言えなくなってしまう。私自身、すでに修士論文を書いた経験があったから、余計、何かを言うのがためらわれた。そのまま、「そう、じゃあ、帰るね」とだけ言って、自分の家に戻った。気にならないわけではなかったけど、ちょっと機嫌が悪いのかな、と思うことにした。ところが、そこから彼はまったく音信不通になってしまった。

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