ドイツでの恋について話そう 4

T君と別れた。
だからといって喧嘩別れをしたわけではなかったので、一気に友達じゃなくなる、ばったり会っても挨拶しない、目をそらして言葉を交わさないようにする、というようなことはなかったが、それでも一緒に遊ぶことはなくなった。
面白いことに、そのときよく一緒に遊んでいたグループは、女の子が結びつきとなっていた仲間だった。つまり、女の子たちがいて、その彼氏なり、共通の男友達なりが彼女らに誘われて集まる、といったもので、男の子同士は彼らだけでなにかをするといったことがなかったようだ。だから例えば、私がT君と別れ、その結果、みんなで遊ぶときに彼が来なくなると、「実はあいつあんまり好きじゃないんだよね」といった意見が聞かれたりもした。男の子同士ってそんなものかと思ったものだ。そんなわけで、別に意地悪をしているわけではなかったが、T君は私と別れたことで、遊び友達も一気に失ってしまった、という事態となった。

それがつまらなかったのかどうかはわからない。けれど、別れて少し経ったとき、彼から携帯にメールがきた。「君のいない夜は苦しい。やりなおしたい」と。・・・私はすぐには何かを考えることができなかった。

彼が何を思ってそう言ってきたのかはわからないけれど、「やっぱり君が必要だ」と言われて悪い気がする人はいないだろう。実際、私だって、昼間や友達と一緒にいる時間はいいけれど、ひとたび自分の家に帰ってきたときはどうにも寂しくて仕方がなかった。そんなとき、彼のことを思い出さなかったわけではない。でも、だからってすぐに「はいはい、じゃあもう一度・・・」って気持ちにもなれなかった。
まず、私はいったん別れたことで、彼との関係に対してかなり冷静になってしまっていた。「つきあう」って、最初は勢いみたいなものがあると思う。もちろん、好きだから付き合うし、その気持ちに嘘はない。でも、一回りも年下の、しかも日本や日本語に興味のないドイツ人の彼と、どっちにしても1年後くらいには日本に帰国してしまう30過ぎの女がどこまで本気でつきあっていたのか、といわれたら、答えに窮してしまう。もちろん結婚だけが「本気」だとは思わない。けれど、1年後には私は確実に日本に帰る。そのときに、彼に日本に一緒に行こうとも言えないし、彼に帰るなといわれても帰るであろうと思う。もちろん付き合ってしまえば、その間に気持ちも状況も変化していくかもしれないけれど、少なくともそのときはそう言い切れたし、そうである以上、最初から期限付きの「思い出作り」のために、つきあうっていうのもなんだか変な気がした。
一方で、そんなに深刻に考えなくてもいいんじゃないの?彼に対して特にわだかまりがないのであれば、気持ちを楽にもって、彼と楽しめばいいんじゃない?と考えたりもした。友達たちは、私がよければ別にいいんじゃない?という意見だったし、ちょっとした喧嘩だったと思えば、きっとまたみんなで楽しくやれるだろうとも思った。それでも、もう一度気持ちを盛り上げることはやっぱり難しいように思えた。

S君と個人的にじっくりと話をしたのはそんなときだった。
年齢も比較的近い彼がどう考えるのか、意見を聞きたくて彼にもT君の話をした。彼は私の話をじーっと聞いた後、結局は君が決めることだけど、、、と前置きをしたあと、こういった。「でも、僕だったら、やめるな。いったんそうやって別れてしまったということは”本物”じゃないと思うから」。心から「そ~だよねぇ~」と思った。
それでもその言葉は私にとって、最後の決め手にはならなかった。しばらく悩んだあと、本当に何気ないときにふっと、「もうやめよう」と思ったのだ。なんだか、悩んでいること自体がおかしいと、何も考えずに「うん」といえなかったこと、それ自体がもう答えなんじゃないかって、自然に思えたのだった。
そのことをを告げたとき、T君は、そうか、でも答えは自分でもわかっていた、ただ残念だな、と言ってくれた。

とっても短かったけど、満足だった。少なくともそのときは。
ただ、その後、私は何度もT君とのこの出来事をなかったものにしたいと思ったものだ。S君の出現によって。。。


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